ふたりぐらし

日々の記録

梅シロップ

今年は例年より早い梅雨入りとなった。

『梅雨』と書くだけあって、この時期になると近所の梅の木にたくさんの青梅がなっている。私の実家の横には畑があり、梅畑があった。幼いころは祖父母に連れられ一緒に梅干し用の梅を採ったものである。大学を卒業するとともに就職し、実家を出、彼女と暮らし始めてからは近所の梅を眺めるのが楽しみになった。

数年前、祖父母宅の隣に住んでいる方が亡くなった。母は働いていたので幼いころは祖父母宅で過ごすことが多かったのだが、その隣に住んでいる方、通称『隣のおばさん』はとても可愛がってくれた。庭の池でザリガニ釣りをしたり、捕まえたイナゴを専用の籠に入れ、おなかの中を空っぽにしているのを見させてもらったり……(何のためかって?もちろん佃煮にするため)そのおばさんが亡くなり非常に悲しく、寂しかったのだが、ある時祖父母宅に遊びに行ったとき、キッチンに南高梅があるのが目に留まった。隣のおばさん宅で採れたものを貰ってきたらしい。新鮮で大きく、ゴロンとした姿を見て隣のおばさんを思い出し、一キロ貰って帰った。

彼女と暮らし始めてから、梅を漬けたことは一度もない。その機会に梅シロップを作ることにした。彼女の実家でも梅シロップを毎年作るらしい。南高梅のヘタを竹串で取り、水できれいに洗い水気を拭き取る。殺菌した瓶に、梅と氷砂糖を交互に入れ朝晩瓶を振って待つだけ。数日経つと梅からシロップが出てくる。毎日眺めるのがとても嬉しく、大層可愛がった。出来上がった梅シロップは爽やかな香りと、すっきりとした酸味が効いていてすぐに飲み干してしまった。これが私と彼女が梅シロップを作り始めたきっかけである。

今年も梅の季節がやってきた。近所の生鮮食品売り場では立派な南高梅と氷砂糖が一緒に売られている。一キロずつ買い数日前から毎日可愛がっている。今ではシロップに梅が漬かり、氷砂糖もだいぶ小さくなってきた。出来上がる頃には梅雨は明けているだろうか。

仕事から帰ってきて甘酸っぱいシロップを飲むのが今から楽しみである。